ドイツ ニュルンベルク1700年ラム2ダカットNGC MS62
本日はドイツ、ニュルンベルクのラムダカットのご紹介です。
当時の貨幣と言えば、「表は為政者の肖像、裏は国章など」がお決まりのパターンです。
「地球にのった羊」はあまりに異質なデザインと言えるでしょう。
この羊ですが、キリスト教に深く関連しています。
羊は、キリストを示しており、ラテン語で「平和」を表す「PAX」と書かれた旗を持っています。
キリストが、地球全体に平和をもたらすイメージを表現しているのでしょう。
ちなみにこちらのコインには年号が書いていないように見えますが、どこにあるかお分かりでしょうか?
表面の羊の周りの文字をよく見てみると、大きさが異なっていることがご覧いただけるかと思います。
このアルファベット4文字をつなげてみます。
すると【MDCC】という文字が現れます。MDCCは、ローマ数字です。
Mは1,000、Dは500、Cは100です。すなわち、MDCCは1700を意味し、発行年は1700年だと分かる訳です。
隠し文字で年号を示すという、遊び心がある金貨です。
また都市であり、大きな国家ではないニュルンベルクでどのようにして材料となる金を手に入れ、ラムダカットが大量生産されたのでしょうか。
この金貨は、縁起物として人気がありました。
結婚式の贈り物だったり、ニュルンベルクに旅行した際のお土産だったり、用途はたくさんあります。
当時ニュルンベルクで金を生産していたわけではありません。
旅行者などがニュルンベルクに金を持ち込んで、ニュルンベルクの職人が、その金を使って金貨を作ったのです。
そして、職人は手数料をもらいます。この方法ですと、ニュルンベルクは自分で金を準備する必要はありません。
作れば作るほど手数料で稼げます。これがラムダカットが大量生産された理由です。
旅行者等の求めに応じて作ったので、生産数量は不明です。
また、1700年だけの限定生産品でなく、何年にもわたって継続的に作られました。
よって、コインには1700とありますが、「1700年を中心とした時代に作られた」という理解が正確です。
縁起物の金貨ですから、大切に保管されてきたことでしょう。
羊の絵柄がかわいいという理由に加えて、歴史的背景も知ると、ラムダカットへの愛着がさらに大きくなります。
大きさも2ダカットと大変に見栄えがする金貨ですので、収集家がこぞって欲しがる幻の金貨なんだそうです。
78万円でお取り寄せができます。
売り切れました。ありがとうございました。
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日本1860-1862年万延大判十両PCGS MS61 »