農林中金の破綻の話題で海外は持ちきりになっています。
JAバンク、農協のことを1年前のゴールデンウイークの時に書きましたが、農林中金がアメリカ国債などを大量に処分する、ということで大騒ぎになっているようです。
以下はいつもお世話になっているNICKさんのブログの転載です。
このブログでは検索ボックスで農協と入れると記事が出て参ります。
“ノリンチキン”の破綻は近い
いま世界中で話題になっているのは農林中金です。
外国では報道が繰り返されていますが、誰もがNorinchukinのことを”ノリンチキン”と発音しています。
外人にとっては発音が難しいのかもしれませんね。
農林中金の問題は水面下でくすぶり続けていましたが、どうやら耐え切れなくなったのかもしれません。
あるいは最初に破綻させる金融機関として選ばれた節もあります。
今週はアメリカではホリデーですし、日本では新札の導入が目前に控えているタイミングなので、いろいろな憶測が浮上しています。
ゼロヘッジは農林中金が債券市場の崩壊の始まりとなると考えているようです。
今の金融市場の問題は、一つの大規模金融機関が破綻すると、連鎖的に世界中の大規模金融機関すべてが破綻することになります。
農林中金は日本で第五位の金融機関で、8400億ドル規模の資産を保有しています。
農林中金は6000億ドル相当の預金を保有しており、漁業と農業関係者の年金基金を保有しています。
最近までは世界最大のCLO機関投資家として知られており、キャリートレードで400億ドルに上るアメリカのCLOに投資していました。
CLOとはただのハイリスクハイリターンのデリバティブのことです。
2022年にイギリス債券市場が崩壊寸前の状態となり、ベイルアウトとその影響もあり農林中金はCLOへの投資を停止していました。
今となり農林中金は外国債券で巨額の含み損が発生していることを認めるようになりましたが、金利上昇が主な原因とみられています、
そしてついに穴埋めのため、保有する31兆円規模の外国債券のうち6300億ドル相当を売却することを公表しています。
農林中金は新たな投資家を見つけて年金の穴埋めをしない限り、農業関係者の年金は大幅に減額されることになります。
農林中金は2023年12月にFRBのレポに加入しており、事実上のベイルアウトされていました。
農林中金は先月、赤字は5000億円としていました。
しかし昨日になって隠しきれなくなったのか、損失額は3倍の1兆5000億に訂正しました。
過去の例では、金融機関は破綻の数日前に巨額の損失を公表するのが多いようです。
農林中金は約6300億ドルに上る巨額の債権売却に踏み切ります。
農林中金は日本の金融機関が保有する外国債券のうち20%を保有しており、農林中金が売り始めればほかの金融機関も追随します。
日本には12兆ドルの米国債があり叩き売りが波及すれば、米国債市場への影響は避けられません。
最悪のシナリオとして叩き売りがコントロール不能になれば、債券市場全体がフリーズする可能性も指摘されています。
世界中の年金が吹っ飛ぶ以上の大問題となるリスクをはらんでいます。
ゼロヘッジは農林中金が段階的に債券を売却するとしていることや、損切は成功し処理後には再び投資に転じるといった日本の報道についても触れています。
しかしこうした報道は、日本式の”投げ売り”のサインだと説明しています。
記事の中では映画「マージンコール」のシーンが引用されていますが、金融危機の最中に生き残るための方法を説明しています。
1. 一番最初に売り払う 2. より賢くなる 3. 騙すという選択肢のうちのどれかを選ぶことになるとしています。
中央銀行が介入し始める数時間後までに全てを売り払うという可能性、あるいは大切な顧客に良い金融商品であると装い売りつける可能性を話し合っています。
恐らくどこの金融機関も、切り抜ける方法を話し合っていることでしょう。
一つおまけがあります。
農林中金が売却するのは米国債だけでなく、大量のフランスの債権も保有しています。
ここ数日の間、フランスのCDSが突然跳ね上がっていますが、原因は恐らくこれでしょう。
日本の円安が急速に進行し金融機関が連鎖破綻に追い込まれると、フランスは資本を一気に失うことになります。
ヨーロッパへの飛び火も不可避な状況のなのかもしれません。